「あの、お話はよくわかりました。 じっくり考えたいので、今日はこれで帰りますっ」 あたしはバッグを手にして、逃げるように玄関へ向かった。 「え、じゃあ送るよ」 パンプスをはいたあたしは、追ってきた秋山さんを振り返った。 「大丈夫です!お邪魔しました!」 あたしは秋山さんの目を見ずに頭を下げ、外に飛び出した。 なんてことっ! 秋山さんが転勤だなんて。 どうしよう、 どうしよう、 どうしよう………… 家に向って歩きながら、あたしの頭の中は「どうしよう」がずっとリフレインしていた。