「千晶~っ!!こっちこっち!!」
翼が手を振っている。

「へいへい……って何でお前までいるんだよ、伶!」

「いちゃ悪いか?」

「そういう問題じゃなくてなぁ~!!」

「いちいち細かいのよ、千晶は。ほら!早く!みんな揃ったわよ!いいじゃない、みんな桐生家に縁のある人たちなんだから」

「楓っ!それはそうだけど……」

今日は天気もいい。俗に言う『快晴』ってやつだ。
桜も満開、風も心地よい。

屋敷の庭で記念撮影!という楓が作った勝手な企画にいつものように乗せられた俺。

親父のカメラ――。

タイマーをセットして俺はみんなの居る方へ走った。
隣には翼が居る。

「さん、にい……みんなで!!」


『はいっ!チーズっ!!!!』


振り返った時、よかったと思える場所がここにはある。

写真家への第一歩……か。悪くねぇかもしれない。
今後はこのカメラにいろんなこと収めていきたいと思う。

少しでも親父に近づくために――。



END