堂々と稔さんを好きやと言える相手ができたことは、幸せなことやった。



孫は、雑誌の『チョコレートの作り方』ってページを切り抜いて持ってきた。



「歳とか関係ないねんで、おばあちゃん。好きな人にチョコあげるのがバレンタインやねんからおばあちゃんも稔さんにあげたらええねん!」



バレンタインか。

テレビやラジオでよう言うてるけど、自分には関係ないと思とった。



「一緒に作ろうや!おばあちゃん!稔さん、甘いもの好きかな?」


「甘いものは好きやと思う・・・」



どっちが年上かわからん。


孫に背中押されて、翌日からバレンタイン大作戦が始まった。



「ちょうど来週のゲートボールの日がバレンタインやん!タイミングばっちりやん」



孫はえらい喜んでくれて、自分の岡本君へのチョコよりも稔さんへのチョコに力入れてくれとる。


涙出るわ、おばあちゃん。