《どうやって?》

廊下から、部屋の中をチラッと見た
…早く戻って色々と決めないといけねぇな…

「何人かを下級ファミリーとして仲間に入れさせます。そこで下っ端としてしばらく働かせて、
取引当日になったらその場で

――叩く」

《…うん。じゃあ今回は慧が全面的に統括(とうかつ)してね。1番最初は誰に仕掛けさせる?》

「勿論(もちろん)陸です」

陸は本物の殺し屋にも引けを取らない戦闘センスの持ち主だ

《分かったよ。じゃ、何かあったら言ってね》
「はい。失礼します」

通話を終えてケータイをブレザーのポケットに押し込んだ

がちゃっとドアを開けると、生徒会室の中では
未月が1人でプリントと睨み合っていた

「ごめん。未月」

ガタッと椅子に座ると、ハッとして未月は顔を上げた

「あ、大丈夫…なんですけど…」
「?」
「中々一ノ瀬先輩が原稿を書き上げてくれなくて…来週の集会、どうしましょう…?」
「はぁ…」

あの馬鹿
人の色恋沙汰に首突っ込む前に、
生徒会の仕事をきっちりとやれよ。生徒会の仕事を

「今日中にやらせとく…」
「え、大丈夫ですか?結構な量ですけど…」
「知るか。サボる卓真が悪い」

それに、高度なハッキングができるくらいにキーボードを叩く速度が速いんだ
今日中に原稿用紙10枚分くらい余裕だろ



…無理でもやらせる

柴崎 慧-シバザキ ケイ-
3年A組
天才戦略家