私の家はここからすぐだ。 既にセーラー服は濡れてしまっていたし。 「……君は傘がないと不便じゃないのかい?」 その人は私に聞いた。 透き通った声だと思った。 「あ…近くなので大丈夫です。じゃぁ…」 私は家に向かって走りだした。 雨がおそってきたけど走ればなんとかなる。 「必ず返しに行くよ。」 背後から透き通った声が聞こえた気がした。