‡不思議な彼は雨男


「あなたの名前は?」

「…雨男。」

私は少しムッとした。

「正直に答えてる?」

「僕はいつでも正直だよ?」

「じゃぁ次は…あなたいくつなの?」

「……外見上は君と同い年かな。」

外見上って何だろう?

「…なんで雨じゃないと会えないの?」

「それは雨男だからさ。」

その回答はちょっとずるい気がする。

「家はどこ?」

彼は黙って空を指差す。

私はぞっとした。

「…まさか天使とか悪魔とか死人のたぐい?」

「違うよ、雫。」

「…そういえば、なんで名前知ってんの?」

私は彼に名前は教えてないし、家の表札にも書かれていないのに。