「…?」


でも私の頭の中は疑問で一杯だった。

「じゃぁね。雫。」

「え!?なんで名前知ってんの!?」

彼はまた微笑するだけ。
そして私の家から立ち去ろうとする。

「あの…

あなたの名前は?」

私は彼の背中に呼びかけた。


彼は雨にうたれてながら少し考えてからこう言った。


「…僕かい?

そうだな、…雨男とでも呼んでくれるかな?」



自ら“雨男”と名乗った彼は、そのまま振り返らずにどこかへ消えていった。