「はい。コレありがとう。」

「…!」


ドアを開けたその先には、昨日は探しても会えなかった彼がいた。

傘を私に差し出しているけど…


「雨の日に返さなくても!!」


彼はまたビショ濡れで、服もこの前と同じだ。


「ゴメンね。僕は雨じゃないと返せないからさ。」

「…どういう意味?」

私が尋ねても彼は微笑を返しただけだ。

「…説明してあげたいんだけど、今日は時間がなくてさ。もうすぐ戻らないと。」

彼はそう言いながら傘を返してくれた。