華子 「サキー」

華子は、アリーナの入口で、
小声で、佐紀を手招きする

汗を拭いていた友理が、それに気付き、
佐紀を小突く

友理 「佐紀」

佐紀が、顔を上げる

友理 「あっち」

友理が、華子を指差す

佐紀は、立ち上がり、華子の所へ歩いて行く



佐紀がやって来る

佐紀は、うつろな目をしていた

佐紀 「何?」

突然、華子は、佐紀の頬を、
思いっきり、ひっぱたく

パチーン、大きな音が、体育館に響いた

唖然として、華子を見る、佐紀

港南ベンチも、驚いて、2人を見る

華子 「何、やってんの。
    こんな試合、見るために、
    一緒に練習、したんじゃないわよ。

    しっかりしなさい。
    キャプテンでしょう。
    あなたが、舞い上がって、
    どうすんの」

頬に手を当てて、聞いている佐紀

華子 「いい。あなたたちの、
    本当の姿を、見せなさい。
    このままで、終って、いいの?」

佐紀の目に、力が戻る

佐紀 「わかった。ありがとう」

華子 「私達、上から、見てるんだからね」

佐紀 「うん」

頬に手を当てたまま、戻ってくる佐紀

そのやり取りを、三田は、
微笑みながら、見ていた