三田 「君達に教えた技術は、
    ほんの一部に過ぎない。

    しかし、バスケットは、
    技術だけでするものではない。

    もっと基本の、大切なものを
    知らなければならない。

    佐紀、何だと思う?」

考える、佐紀

佐紀 「仲間…?」

三田 「仲間が、どうした?」

佐紀 「仲間と一緒に…」

三田 「雅美、どうだ」

雅美 「みんなで、力を合わせて…」

三田 「そうだな。
    しかし、力を合わせるとは、
    どういうことだ?」

雅美 「……」

三田 「確かに、力を合わせる事は大切だ。

    しかし、どうすれば、力を合わせ
    られるか、知らなければ、
    力を合わせる事は、出来ない。

    そのために必要なものは、何だ?」

雅美 「仲間のために、…動く」

佐紀 「みんなのことを、考えて…」

次の言葉を待つ、三田

佐紀 「自分に、何が出来るか…」

三田 「そうだ。前にも言ったが、
    キー・ワードは、
    ”やさしさ”、だ。

    みんなが、自分を捨てて、
    仲間のことを、思いやる。

    その思いが一つになった時、
    奇跡が起こる……、かも知れない」

梨沙が、突然立ち上がる

梨沙 「奇跡の種!」

皆の顔が、パッと明るくなる

三田は、黙って、微笑むだけ

三田 「よし、今日は早いが、
    これで、終わりにする。

    いろいろあったとは思うが、
    みんな、よく頑張った。

    あと少しで、県大会だ。
    怪我などしないよう、
    体調に注意すること。
    いいな」

全員、元気な声

   「はいっ」

三田 「よし、解散」

全員 「ありがとうございました」