教頭が、体育館に入ってくる。

教頭 「おお、いたか。
    ちょっと、みんな、集まってくれ」

教頭の深刻な顔に、何事かと、
ゾロゾロ集まって来る、部員達

教頭 「実は、この前の練習中、
    黒田コーチが、お前たちを
    叩いているのを、見られてな。

    それが、中体連まで伝わって、
    問題になったんだ。

    結果、コーチは、指導禁止。
    お前達は、対外試合が
    禁止になった。

    それで、県大会も、
    辞退することになった」

歩美 「えっ、出られないの?」

教頭 「ああ、そうだ」

里香 「なんで?」

華子が、教頭の前に立ち、

華子 「あれは、私達が、悪いんです。
    コーチは、
    教えてくれていただけです」

歩美 「そうだよ。
    コーチしてただけじゃん」

教頭 「そう、言われてもな」

里香 「何で、県大会、出られないの?」

歩美 「私ら、何も、してないじゃん」

渋い顔をして、教頭は

教頭 「公になってしまったからな。

    中体連には、
    何度もお願いしたんだが、
    決定は、覆らなかった…」

里香 「じゃあ、私達、何のために……」

華子 「先生、何とかならないんですか?」

教頭 「ああ、今となってはな」

両手で、顔を被う、里香

下を向いて、涙をぬぐう、歩美

他の部員たちも、下を向いている

華子は、気丈にも、前を向いたまま
歯を食いしばっている。

華子の握りこぶしに、力が入る



その夜、華子の部屋。

華子は、ベッドに入り、
布団を頭から被る

その布団が、小刻みに揺れていて、
時々、嗚咽が聞こえてきた