杏が登校して来た。


この所、お天気もいい。


「オハヨー!」


「おはよう、杏!」


友達が声を掛けてくれる



教室に入ってからも杏の周りは友達でいっぱいだ



「杏、オハー!」


美波はいつもの調子で入って来た。



「昨日はサンキュー」

「どう致しまして」


おどけてお辞儀をする。


杏はつられて笑う。



ふと教室のドアに目をやると陽介が後ろ向きで立っている。


杏は体勢を少しずらして話している相手を覗き込んだ。




佳奈・・・・・・。


何の話だろう?


そう思った時、杏の横に美波が立っていた。


険しい表情。


そこへ本田が陽介の脇を通り入って来た。


美波はすかさず本田に聞いた。


「陽介、佳奈と何を話してた?」



「えーと、来週の初めに一緒に遊びに行こうとか何とか」



杏も美波も唖然とした。



「良かったあ、断られるかと思った。詳しい連絡はメールでいいよね。アドレス交換しよう」


その声だけが妙に大きく響いた。


嬉しそうに携帯を出してメアド交換している。



知らない間にどうなってるんだろう?



「何かここ最近、やたらと陽介に急接近してると思ったら、そういう事なんだあ」


美波の口調はどこか意地悪な感じに聞こえた。


杏に至ってはどっちつかずな中途半端。


でも・・・心は揺れ動く。