「あ、あたしの友達がね。柴君のことが好きなんだ。でも1人じゃ誘いにくいからって……で、神楽君にお願い出来ないかなって思って」
女ってこういうのん好きやよなぁ。
柴の事が好きなんやったら直接、柴を誘えばえぇんちゃうんか?
そう思えば、梢ってほんま直球やでな。
やり方は、ストーカー紛いやったけど。
毎日、俺の塾前で待ち伏せして、俺を家まで送り届けてたくらいやもんなぁ。
普通は逆やろ。
「……神楽君?」
「え?」
松永に視線を落とすと、俺を不思議そうな顔で見つめてた。
あー……、俺なに梢の事とか考えてんねん。
意味わからんし。
「あ、そうだ。これ」
そう差し出された紙切れを受け取った。
「私の携帯とメアドね。あ、いつにする? テスト後の方が良いよね、遊園地」
勝手に進む話に、
「悪いけど……」
そう断ろうと思った時だった。


