パラパラとめくる資料は、前に何度か日帰りでガイドしたことがあった場所で。 あー、何だ。 ここかぁ。 見慣れた地名に、見慣れた道順。 ここなら、もう頭に入ってるし。 今更覚えなおすことなんてないよねー。 そう思い資料を机の上に投げ出して、壁にかかった時計を確認した。 後、5分。 秒針を見つめながら、紅茶を飲む。 携帯は、既にかける相手の名前が表示されている。 時間ちょうどになった瞬間。 発信ボタンを押して携帯を耳にあてると数回のコール音の後、愛しい人の声が聞こえた。