発表会の後、優さんと2人でお茶をする。



優さんが誉めてくださったエメラルドグリーンのドレスを脱ぎたくなくて、ホール隣の喫茶店に行くことになった。



「ここもミルクティ、ハズレみたいだな。」



優さんの言葉に、メニューを見ていた私は顔をあげる。



ミルクティを注文した人のところに、フレッシュを添えた紅茶が運ばれるのが見えた。



前に会った時は、優さんは気にも留めていなかったことなのに…。



「実は、余合に聞いた。」



頭を掻きながら、教えてくださった。



私のために、彼なりに勉強したのだと思うと嬉しかった。



優さんの勧めもあって、オレンジジュースを注文した。



この前お会いした時よりも、お互いに緊張が解れたのだと思う。



打って変わって、たくさんお話することができた。



発表会のこと、優さんのお姉さまのことなど色々…。



優さんがふと窓の外を見たので、私もそちらに視線を向ける。



小柄な若い女性が、歩いていた。



気にしないようにと思っていたけれど、私の方が優さんより背が高い。



「あのような方が、好みですか?」



拗ねたように聞こえたのか



「ぜ…全然っ、服…ってか、ああいうスカートが好きなんだって!

…のが、絶対可愛いから。」



優さんは、私を指して言った。



梨香さんの名前は口にするのに、私の名前はまだ一度も呼んでくださらない…。



「それは…、どなたのことですの?」



分かっているのに意地悪な質問したら、嫌われちゃうかな?



「み、翠子…。」



耳まで真っ赤にして、優さんは答えてくださった。



名前を呼んでくださったという、嬉しい気持ちが顔に出ていたのか



「に…ニヤニヤしてんなよ。」



なんて、言われてしまった。



優さんが好きだっておっしゃっていたあのスカート、私も穿いてみようかな…。