「では、文化祭でお世話になったお礼として、受け取っていただけないでしょうか?」



今度は、彼の顔を見て言った。



しつこいって、思われちゃうかな?



少し、不安になった。



「ありがとう。」



私の手から、少しぎこちない笑顔でチョコレートを受け取ってくれた。



それだけで、充分嬉しかった。



お辞儀をして帰ろうとしたとき、呼び止められた。



「いきなり拒否るだけってのも悪いから…、考える時間欲しいんだけど?」



それは、まだチャンスはあるってことなんだよね。



その間に、私のことをもっと知って貰おう!



「はい。

また、会いに来ても良いですか?」



自分の発する言葉に、嬉しさが滲み出る。



「ってか、メアド教えて?」



その言葉に、私は携帯電話を手にした。



アドレス登録の際、聞かなければいけないことを思い出した。



「あの、1つお願いがあるのですが…。」



「何?」



「お名前を、教えてください。」