【卓弥】




本当は別れたくなんかない。


こんなに安らげて

癒されて

あったかい彼女に出会ったことがないから…



ゆかりと


結婚…したかった。





だけど、俺の中にいつまでも消えない恵の影が

俺を追い詰める。




俺は


どっちも大事なんだ。



恵と同じ店で働き続けていたのも、どこかで恵が心配だったからかもしれない。


恵が幸せそうにしてる姿をそばで見ていたかったのかもしれない。




俺にもわからないけど…



今、俺がいないと


恵は 死んでしまう…


そんな気がするんだ。




だけど、ゆかりがそれを許してくれるとは思えない。



なのに、ゆかり言うんだ。


『許すから』


って。



だから、彼女でいさせて…って俺に泣いて…頼むんだ。




俺は


こんなにも



最低な男なのに…





もう少しで、恵を抱いていたかもしれないような男…


友達だとか、心配だから…とか言いながら


結局、恵を女として見ている証拠だ…