公園のベンチには、さっきまでいたであろうカップルの食べ残したお菓子のゴミが置かれてた。


たっくんは、黙ってそれをゴミ箱へ入れた。




たったそれだけのことに、


『やっぱり好きだなぁ』

なんて思ってしまう私。



きっと、また許してしまうんだ…



「ゆかり…ごめん。」


たっくんはベンチに腰掛けて、夜空を見上げて呟くように言った。



「何があったの?」


想像していたより、深刻なたっくんの顔がとても怖かった。


「…俺が悪かった。お前と付き合っていながら、恵のとこへ行くなんて…」


「…恵さん、何かあった?」


「昨日の夜中に何度も電話があって…関わらないようにしようって思って…無視してた。俺とゆかりの仲、邪魔されたくなかったし…」


たっくんは、まだ前を向いたまま

まだ一度も私を見ない。


「俺に助けを求めるのは、おかしいと思うけど…電話したときの恵の声聞いたら、俺も放っておけなかった…お前の目の前で、他の女の所へ行くなんて…どうかしてるよな。」


思い詰めたような表情が嫌だった…


龍と別れた時のこと…思い出しちゃうじゃん。


こんな空気だった。



「恵さん、大丈夫だった?」


本当はそんなこと聞きたいわけじゃない。


だけど、怖くて何も聞けないよ。



「うん…今日のことは、俺が悪かった。言い訳もできないよ…」



言い訳…してくれないの?


嘘でもいい。

格好悪くても、みじめでも、何でもいいから

言い訳してよ…



私に許してもらえるまで、何度も何度も言い訳してよ…


お願いだから…


こっち


見てよ。