「おい!!どうしたんだよ!!おい!!恵・・」




お願い・・・



行かないで


行かないで



行かないで・・・







お願いだから



どこへも


行かないで・・・





私の願いも空しく・・・



エプロンを乱暴に投げ捨てて、


たっくんは店を飛び出した。




たっくんは


私のコト・・・



少しも見ないで、


恵さんの元へ向かった・・・



投げ捨てられたエプロンを


震えた手で拾い、丁寧にたたみ、自分の鞄に入れた。




これが、今の私にできる最大の強がり・・・




零れ落ちる涙を隠す為に、汚れてもいない床を拭き続けた。