「おはようございまぁす!」
いつも聞いてる声だけど、毎回ドキッてしちゃう声。
私はのれん越しに、たっくんの姿を確認するとまたメロンを切り始める。
体の全ての意識がたっくんに向いてるのがわかる。
誰かが恵さんの無断欠勤のこと…たっくんに言うんじゃないか…って怯えてる。
俺が連れていくからって言ったのは、どれくらい昔の出来事なんだろう…
「よぉ!ゆかり。また後でな!」
通りすがりに、私のお尻をポンって叩く。
たっくんは、黒のエプロンを付けて、手を洗う。
横顔を見つめてたら、目が合った。
たっくんは、ニコッ…ってかわいい笑顔をくれる。
その笑顔を信じよう。
不安になることなんてないんだ。