【卓弥】



春の風がとても気持ちよく、俺とゆかりの未来のようだ…なんて思った。



いつまでも、新鮮な気持ちでゆかりを愛していきたい。



ゆかりの家に挨拶に行って、俺達は結婚への道を歩き出したように感じるんだ。




ゆかりの両親はとても、温かく俺を迎えてくれた。


ゆかりのお母さんはかなりの美人で、スタイルも良く…

将来のゆかりを想像できたんだ。






「たっくん~!!」


俺に向かって小走りで近づくゆかり。


と、その横には直がいる。




先生に会いたいと言った俺の願いを叶えてくれる為に集まった3人。


部活で高校に来ている先生を、勝手に直撃…する計画。



「もうすぐ、来ると思うんだけどなぁ…」


時計を見ながら、道の向こうを見つめる直。


卒業式からまだ5日しか経っていないんだけど、すっかり彼女…って感じが俺にも伝わる。


あれから、どんな日々を過ごしたんだろ…


長い間、いろんな壁に苦しめられてきた2人に

もう壁はなくなった。




「来たぁ!!!!」


直は、真っ赤な車を見つけると、ピョンピョン飛び跳ねて手を振る。


無邪気だなぁ…


まるで、片思いの女の子じゃんか…


赤い車の窓から手を出し、俺達の前に停まった先生は…


まじ、やばいくらいかっこいい。



「どしたぁ?直!!来るなら言えよぉ。迎えに行ったのに。」


窓から出した手が、直の手を求めてる。


つないだ手を揺らしながら、直は先生の髪を触る。


…なんだ…???



この空気…


この甘い… 甘酸っぱい… 空気は…




なんだ??



まるで2人の世界。


きっと、昨日も会ってるだろう2人なのに、


久しぶりの再会のように見える。




そして、先生はまだ俺らの存在に気付いてない。