「たっくぅ~~~~~~ん!!!!」


坂道の勢いそのままで俺に抱きつくゆかり。


耳元でこっそり言うんだ。


「…裏門から、こっそり高校入らない?」



俺とゆかりは、卒業式が終わった高校へ忍び込む。


誰も俺を不審がることはない。


スーツを着てる俺は、ゆかりの兄だとか…

新任の先生だとか…


全く怪しく見えない。




「ここが、ゆかりの高校かぁ…」

「…そうだよ。一緒に来たかったんだぁ。」



そして、特別な場所へ案内された。


「ここからね…見えるかもしんないよ…」

「何が?」

何のことだかわからない俺の耳元で…



「直と先生…!!」





ゆかりが言うには、ここから見える向かいの廊下は直と先生の思い出の場所らしい。


一人の男の人が窓の外を見てる。



「…もしかして、あれが先生?」


俺は、いつの間にか憧れてた「先生」を初めて見ることができて

不思議な気持ちになった。



「うん!もうすぐ…直が走ってくると思うんだけど…」




俺が見た先生は、男から見てもかっこいい男…

遠いけど、がっちりした体格は見てわかる。



どんな気持ちでそこで彼女を待ってるんだろうな…


しんどかっただろうな…


彼女を守る為、2人の愛を守る為、


先生はどんな苦労をしてたんだろう…