先生は校庭にいた。
直と私にも気付かずに大声を出して…
陸上部の生徒を指導中。
隣でポワ~ンってしちゃってる直がかわいくて仕方ないよ。
ほんとに変わらないね。
高校の頃、こっそり先生を見つめてたのと同じ目をしてる。
Tシャツを肩まで上げて、首に巻かれたタオルで汗を拭く。
「なんであんなにかっこいいんだと思う?」
「直のばかぁ。ノロけてんの~?」
私は直のおでこに、さっき購買で買った冷えたオレンジジュースの缶をくっつける。
先生は生徒と一緒になって走り出す。
「やばい…ゆかり。なんか懐かしい。最近こんな先生見てなかったぁ…」
「そうだね。いいよ…ずっと見てて。座ろっか。」
校庭の横の階段に腰掛ける。
階段には、部活の生徒の水筒やタオルが置かれてある。
もう戻れないんだな。
もうここで
高校生活を送ることってできないんだ。
もっと
一生懸命過ごせば良かった。
もっと、頑張れば良かった。
途中でやめてしまった部活も
本気を出さなかった体育祭も
出し物よりも回るばかりだった文化祭も…
後悔がたくさんある。
だけど…
その後悔を
これからの私の人生で…
消していけたらって思うよ。
何かに夢中になること、
辛くても投げ出さないことは
とても素敵なこと。
強い人ができることなんだって…
たっくんと恋をして
知ったんだ。

