どうしてゆかりじゃなきゃダメなんだろうって思った。
野間が現れてから…
ゆかりが俺以外の男に優しくするのが許せなくて、
俺はイライラしてた。
他の女じゃどうしてダメなんだろう。
ゆかりは
どこにでもいる普通の女の子だと思う。
なのに
俺にとっては
かけがえのない唯一無二の存在。
俺の隣で微笑むのはゆかりじゃなきゃダメなんだ。
恋って不思議だ。
本当に…
たまたま俺はゆかりと付き合えたから幸せだけど…
どこかで何かが違ったら…
麗奈のように、片思いのままだったかも知れない。
麗奈が俺を選んでくれたことも奇跡のようなことなんだ。
千恵理も、麗奈も…
涙流すほど、俺を好きになってくれた。
俺に見せた涙は
きっと100分の1程の涙だろう。
誰にも見せないたった一人の涙…
俺の知らないところで、流してる…
俺は、無理して笑顔で手を振る麗奈を見ながら胸の奥の方が苦しくなった。
右手の指に挟まれたタバコは、灰がただ地面に落ちているだけだった。
いつの間にか空はどんよりした曇り空に変わってた。
遠くの方の雨雲がだんだん近付いてくるような変な風が吹いた。