【卓弥】



寒い……



夜露が背中を濡らす。

肌寒い風が俺の心を不安にさせる。



こんな真っ暗じゃ、四つ葉のクローバーなんて探せるわけねぇじゃん…



なのに、俺はこの場所から離れられなかった。


ここにいると

ゆかりとの楽しかった思い出がたくさん思い出される。


家にいると、


思い出したくもない思い出ばかり… また眠れなくなる。




野間の顔や


野間の俺をバカにした口調。


野間なんかにゆかりを盗られてたまるかぁ!!




誰にもゆかりは渡さない。



特に、野間だけは嫌。




もし、先生みたいなかっこいい男だったら…


100歩譲って…俺は身を引いたかも知れないけど。



んぁああ!!


そんな事やっぱ無理。



やっぱ、俺の手でゆかりを幸せにしたいんだって…



こんなバカな俺だけど

優柔不断で

臆病者で

嫉妬するくせにそれを見せられないプライドの高い俺。


だけど…


誓うよ。




ゆかり、お前を好きだって気持ちだけは


世界中の誰にも負けない自信がある。




一生、

大事にする。




ゆかりがおばあちゃんになって、もし動けなくなったら…




俺がゆかりの手になる。


足になる。



ゆかりの食べたい物を俺が作る。


ゆかりの読みたい本があれば、俺が読んでやる。


ゆかりが一人で先に死ぬのが怖いと言うのなら



俺が一緒に天国へ行ってやる。