どんな授業内容だったか覚えていない。
ただ
抱きしめられた感触が消えなくて泣きそうだった。
「やっぱ、たっくんじゃないとやだ。野間さんに惹かれてるけど……今、すごくたっくんに会いたい。」
居眠りしてる桃子を起こさないよう小さな声で直に耳打ちした。
直は優しく微笑んで、私のほっぺをつねった。
「ゆかりのばかぁ…」
そして、頭撫でてくれて…………
涙が溢れて、マスカラが落ちそうなくらいに目の周りが濡れた。
ウォータープルーフのマスカラにすれば良かった…って後悔しながら………
早くたっくんに会いたい。
抱きしめてほしい。
あの野間さんの力強い腕の感触と、ほんのり香るミント…
忘れさせてほしかった。

