そろそろ……


来る。




バイクの音を響かせながら、やってくる。



さわやかにのれんをくぐり、店中に素敵な風をくれる。





久しぶりのたっくんとのバイト…


ドキドキが止まらない。



「遅いですねぇ、ゆかり先輩の彼氏。」

さくらが私のエプロンを直しながら、ニヤリと笑う。


「やだぁ、彼氏って・・・」


何度言われてもその響きにドキっとしてる私。



恵さんのいなくなった月曜日は、少しだけ活気がない。

あの甘ったるい声も、今となっては懐かしい。



「先輩、今日いっぱい話せたんです!!ゆかり先輩のおかげで友達にもちゃんと話せたんで、もう障害はないです。」

「え?庸介と話せたの??」


庸介っていうのは、さくらが片思いしてる男の子。

最近、さくらの庸介情報を聞くのが楽しみになってきてるんだ。

一番仲良しの友達も庸介を好きかもしれないとさくらはずっと気にしてた。

そして、誰にもその想いを言えないまま、好きがどんどん増えていってたんだ。



「庸介、いじわるなことばっかり言うんですよぉ!キライなのかな?」

「私は、いい感じだと思うけどね~。気になるからいじわる言うのかも・・・」


赤くなったさくらが私の背中をベシベシと叩く。


「そんな事言われると、ますます好きになるじゃないですかぁ!!」



美亜といい、さくらといい・・・

これから恋が始まるかもしれない微妙な感じが少し羨ましくもある。


少しのことで、落ち込んだり喜んだり、一日中その人の事で頭がいっぱいで。



学校でも、もえかは彼氏とのノロケ話ばかりで・・・

さやみは結構たくさんの男から誘われてるようで・・・


やっぱり女の子が集まると男の話になるんだよね。


その中で、常に盛り上げ役だった美亜は自分の過去の恋愛について話したことがなかった。


それだけ・・辛い想いしてきたんだね・・・



隆介が美亜を救ってくれることを期待しよう。

あんなSな隆介だけど・・・確かに魅力的だもんね。