案内されたのは、窓際の景色のいい4人席。
ランチセットを注文した。
向かいに座る先生と直を見ていると、涙が出そうになった。
俺とゆかりにはない『オーラ』みたいなものを感じた。
それから、ぺペロンチーノが運ばれた。
俺はちらっとゆかりを見た。
「たっくんのエッチ!」
ゆかりがそう言いながら俺の太ももを叩いた。
あの時食べたぺペロンチーノを思い出す。
臭くなるからと気にしていたゆかり。
戻れる?
まだ戻れる?
先生は、俺に説教することもなく・・・
ただいろんな話をしてくれた。
先生の高校で会った用務員さんの孫だったか・・・ぴんきィィって子。
あの子が俺の居場所を先生に教えたらしい。
やっぱりあの時見た少女はあの子だったんだ。
「俺、親みたいな気持ちになってよぉ、怒鳴りまくったよ。」
先生は、流れるような手つきでパスタをくるくると巻きつける。
かっこいい人は、何をやってもかっこいい。
先生は、夜の街をうろついていたぴんきィィを心配し、話をきいたらしい。
なかなか本当のことを言わなかったが、やはり怪しいバイトをしていたと最後には認めた。
俺もゆかりも、顔を見合わせた。
まだ中学生なのに・・・
「バイトって言っても、まだマシ。萌え~って感じの喫茶店で働いてたんだ。」
先生から『萌え~』が聞けるとは・・・
少し笑ってしまった。
安心した。
風俗とかキャバクラだったらどうしようかと思った。
「あの年で、援助交際とかしてたらショックだったけど、まぁまだ許せる範囲かな。すぐ辞めさせたけど。あいつ、夢があったんだ。」