【卓弥】



そう


甘くはなかった。




見つかんねぇ………




ガキの頃、同じクラスの女子が公園で四つ葉のクローバーを拾ってきて、俺の靴箱にこっそり入れたことがあった。



俺は、そのクローバーにどんな想いが込められているのかも、当時は気付かなかったくらい子供だった。



結構簡単に見つかると思ってた。



もう何時間も探してて、だんだん俺がムキになってる。



………俺、


願掛けとかあまりしないタイプだけど…



もし



もし…だよ?




四つ葉のクローバーを見つけることができたら…


ここで


言おうかな…




世界でたった一人の大切な人に。




『俺と結婚して』






だんだん夕日が深い色になってきた。


眩しい西日が目に刺さる。




焦れば焦るほど、幸せのクローバーは姿を隠す。



『お前なんかに見つけさせねぇよ!』


クローバーの声が聞こえるようだった。




よりを戻したって、結局俺はゆかりを不安にさせてる。


俺を信じようって必死で頑張るゆかりなんて見たくない。


のほほ~んと…


頑張らなくても俺を信じられるように…



俺が一皮剥けなきゃいけないんだ。



全部話したのがマズかったのか…


いや。


そんなことはない。



俺は


もう 隠し事はしない。




ありのままの俺を愛して欲しい。



ダメなとこいっぱいあるし、弱いし、しょぼい俺だけど…



ゆかりにだけ


世界中でゆかりにだけでいいから


『かっこいいたっくん』


って思われていたい。




頼むよ…



四つ葉のクローバー君。


姿を見せて…