アナタを振り向かせる。

「言っておくけど、周の場合は表情に出やすいだけだからね？」


とか言っていたらまた心を読まれてしまう。私ってそんなに表情出やすい？

意味もなく両手で頬をパシンと当てて見る。勿論何も変化はない。


「つまりは周とは正反対の人。ある意味、ピッタリな相手。でも周についていけるか分からない人」


付け加えて“やるだけやってみたら？愛しの王子様なんでしょ？”と。

そうだ。そうなんだ。私の一目惚れした人、つまり諒太さんは愛しの王子様。

私が何もしなければ諒太さんは振り向く事もしてくれない。

今日は彼は残業かもしれないから、今からアピールする事は難しい。

明日から。明日からだ。気合が徐々に入ってゆく。


「でも彼女いるかも知れないよ？」


そんな陽香ちゃんの言葉は聞こえなかった。