「霄、お前不自然すぎ。おかしい」
 あたしが言うと霄は大きく息を吐きながら座り込んだ。
「うるせー。苦手なんだよ、あの校長」
 苦手だっていうのも分からないでもないけどさ……あの態度は失礼だろ。
 まぁ、校長が気にしてないみたいだったからいいけど。
 楽しんでたような気もするし。
「霄、更衣室とトイレ連れてけ」
「人に頼む言い方じゃないだろ、それ。ったく……」
 霄は文句を言いながらも、歩き出した。速足で。
 校長室の近くに居たくない感じに。
「でもさ、校長いい人だよな」
 ふと私が何気なく言うと、霄が急に止まった。
 後を歩いていた私は当然ぶつかる。
「霄、急にとまるな!」
「宇海、騙されるなよ。……校長、ぜってー楽しんで……」
「だろうな。霄面白かったし」
 霄の背中を思いっきり叩いて歩き出す。
「お前……校長と似てんじゃ……」
 母さんと仲が良いならあたしと似ていてもおかしくはない気はする。自分でも似てる気はするし。
 ……多少は。
「間違っても外見じゃないぞ」
 あたしの首から下を見て腹の立つ目つきで言う霄。
 別にいいけど。いいけど、気にしないけど、この顔が腹立つ。
 あたしは霄の頬を掴むとつねった。
「その顔ムカつく!」
「止めろよ!変形すんだろ!」
「別に変形してくれてもいいけど?関係無いしー」
 手を離すと、霄は頬をさすった。少し赤くなってる。
「お嫁にいけなくなったらどうすんだよ!」
「お前の場合は婿だろうが!つーか、お前は帝志か!」
 この馬鹿さがなんか帝志みたいだ。まぁ、霄も十分馬鹿だけど。