校長室の前までくると、とにかくあたしはびっくりした。
 校長室の前というか、本館の五階に上がった時点でおかしかった。
 学校というより、洋館みたいな。
 白い壁に金の装飾。どっかのヨーロッパ貴族の令嬢の絵がかけてある。
 校長室まで赤絨毯が敷かれていて……違う世界に来たって感じ。
 さすが紫オーラ全開の色気ムンムン校長。つーか、この階……はっきり言って変だ。
「霄……何ここ?」
「……何も言うな」
 一年この学校にいると、この階の異様さは気にしないようにするらしい。
「この階校長室だけ?」
「あー……あと生徒会室」
「……大西先輩似合いそう」
 あの洋館みたいな家で育ったんだもんな。美里も似合う。でも、美里は和な感じだな。
「後……女子トイレ」
「ふーん……あ!」
 忘れてた……女の子の日があるじゃん。どうすればいいんだ……?
「生理ん時どうすんだよ?」
「お前……もっとオブラートに包め!」
 居ないとは思うけど、辺りを見渡した。居たら最悪。にしても……デリカシーが無いというか……。
「別に誰も居ねぇだろ」
「そういう問題だけどそういう問題じゃないだろ」
 霄の頭を叩くと、身嗜みを整えた。校長室に入るんだしさ。