Cleome

こいつは馬鹿だ。
にしても、この学校何なんだ？その高島ってヤツは女なんだよな……？入れ違いみたいにあたしが入学……大丈夫なのか？
有り得ない事だしな……心配する必要もないか。
元から以上に心配する必要は。
「おい、霄行くぞ」
放心状態の霄の頬にビンタを食らわすと、さっさと歩き出す。
「宇海！」
「何だよ？」
「絶対に言うなよ？」
深刻そうな霄の顔。バレたから学校から居なくなったのになんで言ったらいけないわけ？
「分かったけど……理由を十文字以内で説明しろ。簡潔に」
「少な！……一部だけ」
「……馬鹿にしてんのか？」
一部だけって……いくらなんでも少なすぎ。
「お前が十文字って言うからだろ！」
何となく分かったからいいけどさ。一部にバレただけってことだろ？
あたしも……バレたら転校しなきゃいけないんだよなぁ。琉珂の近くに居られなくなるのは嫌だから、絶対バレないようにしないと。
「宇海……お前のことは絶対バレないようにするからな」
足を止めて振り向くと、柄にもなく少し陰のある真剣な顔をした霄と目があった。
こいつ馬鹿だけど頼りになるとこあるよな。
「おう、頼んだぞ」
一人じゃ隠し通すのは難しいし……霄が居て本当に良かった。
霄には言わないけどさ。