「その先輩が盗んだとか?」
普通、一般の生徒が持ってるわけない。何かあったら大変だしさ……。
「大島先輩がそんなことするわけないだろ!」
やけにムキになる霄。そんなにムキになるほどの事じゃないじゃん。

「大島先輩はな、俺の癒しだったんだぞ!マドンナ!」
あー、霄はその大島とかいう先輩が好きだったんだな。
「男なのにマドンナ?」
あたしが言うと、やばいって顔をした。目が泳いでる。
ただの疑問を言ってみただけなのに……。
「なんでそこで動揺すんの?ただ女みたいに可愛いとか美人だからとかだろ?」
「ま、まぁな!」
明らかに動揺してる。これは……面白い。
「ふーん……その先輩モテただろうなー?」
「当たり前だろ!」
「何歳?」
「1コ上」
「性格は?」
「優しくて、性格良くて……宇海とは正反対」
こいつ…腹立つ。つーか……大島先輩って……。

「なんでいないわけ?その優しくて可愛くて性格のいい1コ上の三年大島先輩が」
「バレたんだよな〜」
高島先輩との思い出に浸ってる霄は、どこかに飛んでいきそう。
いっその事、飛んでけばいいのに。昇天した方がいいんじゃないかとあたしは思う。

「何がバレたんだ?」
「だから、おん……ーー」
霄はさっきとは打って変わって、顔を強張らせて、あたしの顔を見て止まった。