今、冷静になって色々考えてみると…ありえない。
夢…悪夢なんじゃねぇの?

あたし…短期間で色々間違えたよな。百八十度人生変わったような…。
だって…男になったし。

どうする?これから…。
嫌いなモノは克服しないといけないことは分かってる。
でもさ、急に克服出来るわけ無いし。

椅子に座ると、背もたれにもたれて上を向いた。
「……頑張るか」
それしかない。
男子校で男子と話さないとか無理だし。

 ノックと共に琉珂の声。
「お兄ちゃん、荷物」
 そういえば、琉珂の部屋持ってったんだ。
急いでドアを開けると、琉珂が重そうなダンボールを持って立っていた。

「ごめんな、琉珂。重いだろ」
受け取ろうとしたら、琉珂が首を振って部屋に入った。
「お姉ちゃんに持たせるわけにはいかないよ。ここでいい?」

めっちゃ優しい子だし!あたし、結構腕っ節には自信あるんだけどな。

「もう一箱あるから持ってくるね」
「ありがとうな」

ううん!って笑顔で去って行く琉珂。
でも…こんなに荷物あった覚え無いんだけど?
疑問に思いながらダンボールを開ける。

「げっ!」
……何でエロ本があんな?
犯人はあいつしか居ねえ。

ダンボールを持つと、開けたままだったドアから飛び出した。
霄の部屋のドアにダンボールを打ち付けてやる。

「霄!早く出てこいボケ!」
「何だよ?」

怠そうに出てきた霄にダンボールを押し付けると、ドアをおもいっきり閉めた。
ドアの向こうで霄が痛がってんのは無視。

あ、何かあったら霄に任せればいいんじゃん。

「宇海!」
「エーロエロ!」

あ、額赤い。鼻じゃなかったのか…残念。

「お前な…」
「届けてやったのに文句言うな。」
霄の額をパーで叩くと、部屋に入った。

一応、役に立つもんな。霄は。