家…屋敷って言った方が合ってる気がするな…。屋敷の前に来て、車からおりると、中から女の人が出てきた。
なんていうか……細い。か弱そうな感じで、里美に似てる。

「こんにちは、琉珂君に…宇海…君」

迷うだろうな。女だって知ってるし、家族プラスαしかいないんだもんな。

「お願いしまーす」
「お願いします」

あたしたちが言うと、癒される笑顔を返してくれた。

そういえば…里美の父親って里美が中学生の時亡くなったっていってたよな…。

「里美からよく話を聞いてたのよ」
「そうなんですか?」

どんな話したのやら…?若干、笑われてる気がするんだけど?

「私は里華よ」
 なにこの癒しの笑顔。里美そっくりだー。里美の癒しオーラは里華さん譲りだな。


「さ、荷物運びましょう」
 
荷物っつっても、そんなに無いんだよね…。必要最低限のものしか持ってきて無いし。


「剛史呼んで来るわね」

剛史…?誰?
そんなに荷物無いからいいんだけど…霄に持たせるし。

「里華さん!俺が全部運ぶからいいって」
自分からやるって霄が言うなんて珍しい。

「宇海、ホントに男に慣れないとやってけないぞ?」
「分かってるって。つーか、フツーの顔は大丈夫だし…フツー以下とか」

多分。
あたしの言葉に霄はため息をついた。
信用ならないってか!?ならないけど。

「ここ来た時点で終わりだったな…」
「なにが?」
「………」

聞いてもなかなか答えない霄。
気になるけど、里華さんに呼ばれてあたしは続きを聞けなかった。

まぁ……すぐにその意味がわかったんだけど。