「あっちの岩場の方行こうぜ」
黎斐に行ったらなかなか戻って来れないだろうし…。
あそこは色々思い出あるからなぁ。

霄を岩場の上から突き落としたり…萌華を突き落としたり…。
…地元のちびっこ達が飛び込んで遊んでるとこだから安全だしさ。

あ、小学生の時霄とマジの殴り合いしたっけ?

ろくな思い出ないじゃん…。
 ま、いいか。

「萌!行くぞ。」
「イヤ。」
首を振る萌華。…まーだ羨ましいとか妬んでるわけ?

「あのなぁ…あたしだって好きで行くわけじゃ…」
呆れながら萌華の顔を見ると、今にも泣き出しそうなうるんだ目と目が合った。

「萌華…」
「萌華ちゃん…」
「う…宇海ー!」

あたしめがけて萌華が突進してきた。いっつもなら避けるけどさ…あたしも悲しいから…。

「まさか……まさかぁぁぁ!」
「落ち着けって…。」
「行っちゃうなんて…っ!」

あたしもびっくりだし。…ムショーに海行きたかったのは、どこか他の土地へ行くってなんとなく分かってたからかも。

「宇海ちゃん…行っちゃっても友達だよ!」
「当たり前じゃん!一生の別れってわけじゃ無いんだからさ!」
「絶対よ!」

この三人でこんな湿っぽい会話するなんて思わなかったな…。
特に萌華。

黎斐高校に行っても…里美や萌華はあたしの親友には変わりないんだからさ。
ただ側に居ないだけで…。
ヤベッ、涙出そうになった。

「夏休みとか長期休暇の時にこっち来るから。」
「うん!」

いつまでも続かなかった儚いあたしの平和な日々……。