優を医務室に運び、残った時間グラウンドの木陰で過ごしていると、空が俺のとなりに座った。大地はこっそり部屋に行き、緑と電話していた。


『優ちゃんの捻挫、軽いから夜までには治るって。』


「そっか、よかった。」


風に当たりながら気持ちよさそうにしていると、空が肩を寄せて、手を重ねた。


『あのさ…兄貴…。兄貴が朝言った……』


ガバッ!
突然後ろから誰かに抱きつかれた。俺も空もびっくりした。


「海く~ん!やっと見つけた!もぉ~探したんだよ~?」


「小海ちゃん!?どうしてここに!?」


確かにここの住所を教えたのは俺だが、まさか来るなんて考えてもいなかった。しかもご丁寧にうちのジャージを着ていた。


「私の家の別荘がこの近くにあるの。住所聞いてもしかしたらと思ったんだ。そしたら本当に会えた!嬉しい~!」


全身を俺の背中にくっつけて、頬をこすり合わせる。空は明らかに怪訝な顔をして小海に敵意をむけた。


「小海ちゃん、離れて。先生や他の生徒に見つかったら大変だぞ。」


「えーっ、いいじゃん。せっかく会えたのにさ~、なんならこのまま外で。なんてもありだよ。」


誰がするかっての。いくら胸を押しつけられても、彼女でもないやつとやれるかっての。