ココの乗ったタクシーが信号で止まり、街行く人の波を見ていたココの目に写ったのは、撮影以来の北斗の姿だった

ケースを抱え、なにやら難しそうな顔をして歩いている

この信号からサロンは遠くないし、ここでタクシーを降りてしまおうかと思ったココだったが、北斗が、手を挙げている事に気がついた

ココがその先に視線を写すと、ブランド物であろうスーツを身に纏い、綺麗に化粧を施した女性が立っていた

女性が笑みを見せたところへ走る寄る北斗

その時、車道の信号が変わって、動き出す車の波

信号待ちをしている二人の前を、ココを乗せたタクシーも通り過ぎた

北斗を見上げる女性

女性を見下ろす北斗

ココはそんな二人からサッと目をそらし、俯いたまま、タクシーは走り去っていく

サロンの前で降りたタクシー

差し出したゴールドカードに驚いた運転手に気付きもせず、ココはそのままサロンへ入っていった

母にケースを渡し、言われるがままにソファに腰掛けているココ

北斗が女の人と歩いているのを見ただけなのに、ショックを受けている自分

漠然と“北斗に惹かれていたのかな・・”と理解した

それと同時に北斗との距離を感じずにはいられなかった

社会人として立派に働いている北斗の隣で笑っていた、大人の女性

とても似合っていた

ココがボーっとしていると

「はい、完成~」

その声にふと我に返ると、目の前に瞳をきらきらさせ。期待に満ちた視線を送ってくる母の姿