「はぁ・・・ わかった・・」

「本当!! 助かるわ!! じゃあ気をつけて来るのよ? 知らない人に付いて行っちゃ駄目よ? それと・・」

「もう! もう17だよ? そんな事わかってるって! じゃ、切るよ!」

いくつになっても心配する母の言葉を遮り、ココはため息をはき、母親の部屋に向った

母親の部屋といっても、両親の寝室続きの姫花の仕事部屋だった

才能のある母は、自分のブランドを持ち、そのデザインをしているので、机の上はデザイン画が散乱していた

ココは慣れた手つきでデザイン画をまとめ、その下に埋もれていた黒のケースを発見した

モコモコの小さめのポシェットに、小銭、クレジットカードと、携帯を突っ込み、ケースを抱え自宅を後にした

ショートボブでますます顔の小ささが惹きたてられたココは、大きめのサングラスを掛け、ゆったりめのワンピースを纏い、長い足はブーツを履き、大通りまで歩いていく

母親のサロンまで忘れ物を届けにいくだけなので、家でゆったりしていた格好のままだったが、それでも、人目をひくココ

すぐに捕まったタクシーに乗り込み、サロンへと向った

「おじょうちゃん、モデルさん?」

ココがボーっとしていると運転手が話しかけてきた

その声に顔をあげると、バックミラー越しにこっちを見ている

「え? 違いますけど?」

「そうなの? じゃあ女優さんとか?」

「は? 」

「おじちゃん、そういうの疎いからさ、よくわからないんだけど、よかったらサインくれないかい?」

「あの・・ そういうんじゃないですから」

勝手に話を進めている運転手にうんざりしたココは、視線を外へ移した