「マジで今まで便所にいたのかよ?」

とトイレの前にいるふたりをみてため息をつくケーゴ

「腹痛ぇなら最初っからそう言えよ・・」

と泣きそうな顔のココを見て、鬼(ジョー)の表情も緩んでいった

さっきの女の子達は“日本の女の子達は怖い”とか言ってたけど、ここのほうがよっぽど怖かった・・

ブライアンの腕の中のぬくもりとジョーとケーゴの慌て振りに気が緩んだココの目から涙が落ちた

その涙を見て、ジョーとケーゴの表情が変わり、ココの表情の見えないブライアンも視界に入っていたジョーとケーゴの様子が一瞬で変わったのを見逃さなかった

そして、その空気はすぐにカフェ全体に伝わっていく

ブライアンの胸に顔をうずめているココに近寄ったジョーは

「どうした?」

腰をかがめ、ココの顔を覗き込むが、ココの表情まで見れない

「ココ?」

ブライアンの柔らかな声もココの頭上から降ってきる

「ごめん、なんかちょっとホームシック?」

と赤い目と鼻で笑顔を見せたココだったが、それが本心でないことくらい一目瞭然で、ただ、悟られたくないという気持ちを汲み取って

「ホームシックって・・」

とジョーはため息をつきつつ、ブライアンに視線をうつした

それに気付いたブライアンは、ジョーとその後ろで眉をひそめているケーゴに頷き

「じゃあ、午後の授業はサボッてこのままでかけようか? 気持ちもきっと晴れるだろうから!」

とココを胸に抱いたままカフェを後にしたのだった