「なんか、ココ見てると本当に日本人って真面目なんだな~って思うよ・・」

とため息をついた

ハンナの言葉に

「ハンナの中では私が日本人代表なんだね~」

と暢気に笑ったが、ハンナはそんなココを気にもとめず

「ココがブライアンを知らなくても、ブライアンは知ってるの! ほら、アメフト部のキャプテンだよ?」

アメリカの高校でアメフト部といえば学校を代表する花形の部活

そのキャプテンとなれば、容姿は三割り増しなのだが、ブライアンはアメフト部キャプテンという肩書きなくしても、イケメンだった

いつも同じアメフト部の部員を引きつれ、ブロンドのチアリーダーをはべらせて歩いているブライアンはとにかく目立つ男なのだ

しかし、ココは授業についていくのが必死で、教室と図書室の往復の日々

休みの日は、お店の手伝いをしていたので、週末にある学校対抗試合にも行ったことがなかった

自分も自分の家族も知らないこの土地で、勉強して、バイトして・・普通に過ごせるだけでココは毎日が充実していたのだ

いくら本人がそうでも、やっぱり東野心花は姫花と潤也の娘であって・・

ココが廊下をあるけば、誰もが振り返るし、ココが通うようになってから図書館はいつも人で溢れているのだったが、ココ自身は、キョロキョロしながら歩くわけでもなく、人で溢れている図書館しか知らないココはそれに気付くはずもなかったのだ

ココと話をしたいと思う男の子は大勢いたが、迷いなく歩き、図書館でも真剣に勉強している様子に誰も話しかけられなかったのだ

そう、ココには隙がなかった

だから、ハンナを通してココに近づこうとする生徒は多かったのだ