憎んでる
そう言われるとそうかもしれない
けれど
号泣しながら謝った惇がまだ記憶の中で鮮やかに残ってる
「許せるか許せないかはわからない」
本心だ、たぶん
惇の顔を見たら
もしかしたら殺したくなるかもしれない
一発殴っちゃれば許してやれるかもしれない
お前が許してどうする?
て言われそう
許したい
だって親友だから
親友でいたいから
「仲間を簡単には捨てられないよ
それが幼馴染みの親友なら、なおさら」
尾野は少し驚いたような
けれど笑ってた
2本目の短くなったたばこを吸い、灰皿に捨てた
「真、お前はいいヤツだよ
おふくろさんが亡くなって一人暮らしして
美咲の面倒も見てさ
けど、いいヤツだからって幸せにはなんないよ?」
3本目のたばこを咥えライターで火を点けた
「現在進行形で不幸だよ」
「きゃははは!
いいね、やっぱ真はいいヤツだよ
アンタみたいなヤツは幸せになって欲しいと願うよ」
じゃあな、て言って
たばこの臭いを看護服にまとわりつかせながら屋上を出て行った
