花が咲いたような笑みを浮かべる安藤を前に、鼓動が速くなる。

伝えたい。

―けれども。


「…屋上、行くか」


この関係が崩れることを恐れる、自分が居る。

それでもやはり、我儘なもう一人の自分は、大胆な行動に出て

返事を待たずに、柔らかそうな安藤の掌を取って


屋上への道を、進んだ。


「ちょ…!ななな七澤、手…!!」

その声に振り返ると、真っ赤になっている安藤と目が合った。

口元が緩む。


階段を上りきり、目の前に迫った屋上へのドアを開けた。



広がる、青空。



午後一時

太陽が照りつける、屋上。




この、奇妙な関係は



きっとこれからも、続く。