その声に、隣でシュンとしていたナツメはピンと背筋を伸ばして立ち上がり、何処からかワックスを取り出し、髪の毛をセットしだした。


…何やってんの、こいつ。


眉間に皺を寄せてその様子をみていると、はちみつ色の髪から覗く藍色の瞳と目が合う。

ふわり、と

優しい笑みを向けられた。


「―七澤…?……まだ、寝ているのか…」

その、襖の向こうから聞こえた声に、慌てて布団から出て襖を開けようと手を伸ばす。

しかし、俺の手は途中で動きを止めた。

あともう少しで辿り着くそこで、背後に立っていたはずのナツメが、俺の前に体を捻じ込んできて、襖を開いたのだ。

「大丈夫~。七澤くんは今起きたよ?すぐ来るから待っててさ」

そう言って、安藤の頭をぐりぐりと撫でるその手を思わず睨む。


そして、


ちらりと見えた、嫌がる安藤を愛しそうに見つめる瞳に



…心の奥で、火が灯った。