「…クラスメートだ」

確実に突っ込まれることを予想していた俺は、その次の男の言葉を待った。

それなのに

「あ、そう」

男はあっさりとそう言うと、一度部屋から出て行き、やたらデカイ声でその名を呼んだ。


「すみれー!!」


…俺は数回しか呼んだことのない、安藤の名前を。



安藤すみれは、下の名前で呼ばれることを嫌う。
何となく、聞けばまた、あの無理矢理な笑顔をさせてしまうような気がして、俺はその理由を聞くことができないままでいた。

きっと、親しい相手でないとその名を呼ぶことはできないんだろう。


そう思うと小さな痛みが胸の中に生まれ、同時にそれが羨ましく思えた。

―なんて

また何を考えているんだ、俺は。