そのまま巨体がドアを引くと、匂いは更に色を濃くし、俺の腹はそれに反応して小さな呻き声をあげた。


そういえば、俺はどれぐらいの間気絶していたんだろうか。

たしか殴られる前にも飯は食った筈なんだが。

テーブルに、料理が盛り付けられた皿を並べていた安藤が、目を開いてリビングに入ってきた俺を見てきた。

「七澤!目を覚ましたのか!昨日の夜からずっと目をさまさなかったから…」

そこで目を見開く。


―昨日の夜!?

ってことは…。


「一日眠ってたんだ。もう夜だしな…腹減っただろうから遠慮せずに食え」

巨体が、そう言って俺の肩を軽く叩く。
その言葉に、俺は勢いよく首を振った。

「いやあの!いいです!帰ります!」

二日連続で安藤の家に泊まるのは、―流石に気が引けた。
一日目は仕方がなかったとしても。


泊まるわけには行かない。


……否、本心は違うところにあったが、俺はそれを必死で否定したのだ。