「まああの………顔上げてください」
困りますから。
本心はそれだったが、ギリギリのところで心の奥底に沈める事に成功した。
どうしても、謝っているこの姿を安藤と重ねてしまった。
そうなると何だか胸の奥で得体の知れない感情が渦巻くのだ。
すまない、
すまないと
やたらと謝る安藤。
それは弱い毒のように、痺れる感覚を胸に焼き付ける。
「……あれが」
巨体が静かに状態を起こし、俺の眼をしっかりと見据える。
その目は、穏やかな目に戻っていた。
「………すみれが、君と関わるようになって……あの獣のような、男のようなすみれが少し変わったんだ」
俺は初めて安藤の声をきいた日の事を思い出した。
「いきなり、封印していたはずの料理をしだして」
巨体は、そこで小さく笑った。
「聞けば男にやる弁当を用意しているんだ、とな」
―「彼氏」かと思った―
さっきの言葉を思い出して、目を細めた。
ああ、そういうことかと。

