飴色の床
体育館程もある広さ。


明るい照明が眩しくて、一瞬目を細めたがすぐに目を見開いた。

その道場の隅で、道着姿の安藤が空を拳で突いていたのだ。

高い位置で一本に結ばれた長い髪が、馬の尻尾のように動くたびに揺れている。

その横顔に向かって名前を呼ぼうと口を開いたが、声が出せなかった。

安藤の醸し出すそれに、固まってしまったのだ。

ころころと表情を変える「いつもの安藤」の顔は、そこにはなかった。

凛としていて、簡単には捻じ曲げられそうには無い芯のある強さを持ったその表情。
真っ直ぐ前だけを見詰める瞳。
華奢な体から感じる、猛獣のようなオーラ。


―驚いた。


だが、それよりも。


俺は、そんな安藤に

−見惚れてしまっていた。




「―おい。……小僧」


そんな俺を現実に引き戻したのは、背後から聞こえてきた、あの巨体の野太い声だった。