大きな足音がこちらに向かってくる。 俺は椅子に座ったまま硬直した。 名前で呼ばれることを嫌う安藤を 「すみれ」と呼ぶこの声の主。 それが安藤の何なのか―浮かぶのは、漢字一字。 声の主は 「ここにいるのか!?」 と怒鳴るようにそう言って、ひょっこりと顔を覗かせた。 ……熊。 熊がいる。 第一印象は、それだった。